コロナウイルスと精神科 その2 インターロイキン サイトカイン

 そうこう考えているうちに、4月15日にこのような発表がありました。一部を引用させていただきます。
 
 
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掲載日:2020年4月15日更新

お知らせ

  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の平野俊夫理事長が、国立大学法人北海道大学遺伝子病制御研究所の村上正晃教授と共同で、これまでの長年の研究成果を基に個人的な活動として新型コロナウイルスに関する論文を発表いたしましたので、お知らせいたします。

論文のポイント​

  • 新型コロナウイルスSARS-CoV-2感染症であるCOVID-19に伴う致死的な急性呼吸器不全症候群は、免疫系の過剰な生体防御反応であるサイトカインストームが原因であると考えられる。
  • サイトカインストームは、遺伝子の転写因子であるNF-kBとSTAT3の協調作用により、免疫関連タンパク質であるインターロイキン6(IL-6)の増幅回路(IL-6アンプ)が活性化され、炎症性サイトカインの産生が異常に増加し起こる。
  • COVID-19にみられる急性呼吸器不全症候群の治療薬の標的としてIL-6 アンプが有望であり、IL-6-STAT3経路の阻害が有効であることを示唆した。
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 さて、前のブログで、サイトカインストームのことに触れていましたら、急にこんな論文がでたことを知りました。つまり、コロナウイルス感染症になると、免疫系を巻き込んだ、サイトカインストームが起こり、炎症性サイトカインであるインターロイキン6が活発になり、組織の炎症を過剰に広げていく、組織を破壊していくというもののようです。

 しかし、これは、精神科では、悪性症候群の場合と統合失調症などの精神病状態の急性期にも起こっていると考えられる病態です。統合失調症は、脳の炎症であるという考えもあり、血中のインターロイキン6濃度が高まっているという論文もあります。

 悪性症候群、統合失調症では、炎症が起こった痕跡がみられます。悪性症候群では、経過中や病後に、インターロイキンと関係する免疫グロブリンの変動がみられますし、統合失調症でも、先に述べましたように、認知的重症度とアルブミン・グロブリンの比に関連がありますが、これは、インターロイキンを中心とするサイトカインの作用の結果ではないかと考えます。(私の想像の部分も含んでいます)

 統合失調症の興奮状態(おそらくサイトカインが活動する)は、抗精神病薬でコントロールすることが可能です。これから考えると、抗精神病薬を適正に用いて、サイトカインの働きがある程度コントロールされている統合失調症患者さんは、サイトカインストームが起きるような重症肺炎状態になりにくいかもしれませんし、何らかの関連は出てきそうです。特に、サイトカインや神経伝達物質を副作用少なく調整する新規抗精神病薬は、脳の炎症だけでなく、肺の炎症も起こりにくくするかもしれません。新規抗精神病薬を服用中の統合失調症患者さんの罹患率が少ないことを願います。

 悪性症候群のサイトカインストームの痕跡は、初めにアルブミンが減少し、ゆっくり回復しますが時間がかかります。グロブリンもいったん低下して、それから、何か月もかけて、上昇を続けます。コロナの場合も、明確なサイトカインストームが起こる重症例ではそうなるのじゃないかとも思ってます。当たり前かもしれませんが。興味をお持ちの医療関係者の方は私の論文を読んでくださるとありがたいです。

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