コロナウイルスと精神科 その8 精神疾患はコロナウイルスで再燃する リンパ球数低下でみる

コロナウイルス感染症が疑わしくても、PCR検査はなかなかしてもらえません。PCR検査をしないのは、なぜなんでしょうか。症状が重篤でなくてもうつす可能性はあるのですが。私にはわからない事情があるのかもしれません。

 倉島らが報告している通り、血液のリンパ球数がコロナウイルス感染症では低下し、しかも重症度と関連するという事実があります。(倉島一喜ら:新型コロナウイルス肺炎患者における重症化因子の検討 日本感染症学会ホームページhttp://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200331_1.pdf

 私の病院では、もちろんPCRはできませんし、頼んでもなかなか無理なので、一般病院でもできるリンパ球数に注目しました。

 精神症状が悪化して入院してきた方のリンパ球数が低かったので、なるべく多くの人の入院時のリンパ球数を見てみたのですが、4月中旬から5月上旬に入院した患者さんの約40%でリンパ球の低下がみられました。より、正確に言うと、白血球数のうちのリンパ球の割合です。これが、25%を下回る例が40%とということです。びっくりしました。

 これは、きちんと対照群を設けなければなりませんが、おそらく明らかに、「精神症状が初発あるいは再燃して入院してきた患者さんはリンパ球数が低下している率が高い」ということです。

 このようなことは普通はありえません。リンパ球が低下するのは、例えば AIDSなどですが、ウイルス感染と考えるのが妥当でしょう。するとこの時期、リンパ球数低下の理由はコロナウイルスしか考えられません。

 いったいどういうことか、精神状態が安定していた患者さんが、コロナウイルスに暴露され、インターロイキン6などが活性化して、軽度の脳炎が起こり、精神症状が悪化して入院に至ったのではないかとも考えられます。

 これはあり得ることです。もともと統合失調症などは、IL-6が活性化する脳炎により生じるという考えもあり、おかしなことではありません。コロナウイルス感染症では、IL-6が活性化するサイトカインストームで全身の血管の炎症、多臓器不全になるといわれています。

 統合失調症とウイルスとの関係は、今までいくつか指摘されています。一つは、インフルエンザです。統合失調症は冬生まれが多いということは何度も検証されてきたことです。その理由としてインフルエンザが影響しているのではないかということがいわれたことがあります。

 もう一つは、ボルナ病ウイルスです。ボルナ病は、大型動物のかかる感染症で、感染すると興奮しその後に活力がなくなるという経過があります。統合失調症の患者さんの血液の中で、ボルナ病の抗体を持っている人の割合が有意に高いという報告があります。これを否定する報告もあります。そして、ボルナ病ウイルスはコロナウイルスと同じRNAウイルスです。

 統合失調症の再燃は普通、服薬の中断などによって起こりやすくなります。しかし、このごろ入院してくる患者さんは、服薬中断がはじめのきっかけでなく、極端に推測するならば、コロナウイルスに感染して、軽度の脳炎あるいは脳の血管炎を起こし再燃する。服薬中断は患者さんの怠慢などではなく、脳炎による認知障害により起こっているなどとも考えられるわけです。

 学会や学術雑誌だと、なかなかここまで大胆にはいえません。精神医学会の常識からみてそんな馬鹿なことがあるかということになるし、PCR検査のように、採用しないことが最初に決まって、採用しない理由を探されるということになりがちです。ブログはそういう意味ではたいへんありがたいものです。

 まだ、誰も気が付いていないのかもしれませんので言っておきます。統合失調症など精神疾患の再燃にあるいは初発にコロナウイルスへの暴露があるのではないでしょうか。その証拠として、リンパ球数の減少をしている方が考えられないほど多い。おそらく統計学的に有意に多いということです。そして、この状況ですので、コロナウイルスが関係していると考えられます。コロナウイルスは統合失調症の原因ではないと思います。ただ、統合失調症を悪化させる要因の一つとして、IL-6を通じて病状を悪化せているのではないかということです。

 日本の雑誌ではこういうことをすぐに発表することはできないでしょう。手続きが非常に複雑です。それに当院のような民間病院の一精神科医の意見はなかなか反映されにくいです。

 でも、世界でまだだれも気付いていないみたいですので、はっきりとブログで述べさせていただきました。ある日、内外の有名大学や研究所の先生が有名雑誌に投稿する可能性がありますので、一応言っておきます。これを書いたのは2020年5月17日です。この事実は、統合失調症がなぜ何度も再燃するのかということに重要な示唆を与えます。服薬中断など患者さんのせいにしがちですが、そうではないかもしれないのです。私はびっくりしてます。でも多くの場合、人がびっくりしないことに、また、びっくりすることが多いです。

「コロナウイルスは、統合失調症などの精神疾患の患者さんに影響して、IL-6などを介して再燃させることがある」

 かといって、入院してきた方はコロナ肺炎にはなっていません。私の考えですが、リンパ球数はもっとも鋭敏な感染の指標であり、まん延の指標としてはこれがもっとも広い感染を示すのでないかと思います。ブログですので、自由に言わせてもらいました。ご精読ありがとうございます。

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