コロナウイルスと精神科 その4 蔓延の指標(医療関係者向け)誰かやってみて

 日本感染症学会のホームページに、コロナウイルス感染症の症例報告が載っています。これは、会員でなくてもみることができます。ここに各症例の検査データが示してあるので、コロナウイルス感染症の血液検査上の特徴を調べてみたいと思います。

 症例報告は日々どんどん増えていますが、このうち、初期に報告された31例について、データをエクセルに入れ、統計ソフトSPSSで検討をしてみました。1月22日から3月10日までに入院した患者さんです。ここまで入力するだけで疲れてしまいましたので、統計をとるのに最低限のサンプル数になったということでご勘弁願いたいと思います。

 男性が17人、女性14人、年齢は30歳から89歳、平均61.1歳、症状の初発から血液検査の日数は、-3日から16日、平均5.5日。-3というのは、濃厚接触者として検査され、PCR陽性となった後に症状が出た人です。

調べたのは、白血球数、白血球分画、ヘモグロビン、血小板数、アルブミン、BUN、Na、LDH、CRPです。

 31人のこれらの平均値が、正常値から明らかに逸脱しているものは、当然ながら、炎症反応を示すCRPがあります。そして、リンパ球の割合です。正常値は、25%から45%とされることが多いですが、31人のリンパ球の割合の平均は 22.5%と低下しています。割合だけではなんなので、リンパ球数を計算してみました。すると、29人中、21人(72.4%)で正常値の1500個/μ㎖を下回っています。

 コロナウイルスの感染症でリンパ球数が低下するのは、すでに言われていることなのですが、インフルエンザなど他のウイルス疾患でもリンパ球の低下は起こるため特異的とはいえません。しかし、現在、インフルエンザは、感染症サーベイランスでも出てませんし、この時期にリンパ球が低下していれば、コロナウイルス感染の可能性は高いように思います。そして、ウイルス感染症の治癒によって、リンパ球数は正常化するのではないでしょうか。きっと抗体ができるより早いでしょう。つまり、熱が出て最初の血液検査で、リンパ球の低下がみられ、臨床症状が軽快し、また、検査してみたら、リンパ球が正常化していたら小康に至ったのではないかと考えてもよいかもしれません。憶測にすぎませんし、コロナはずいぶんしぶとく体内に残るみたいなので、経過によって変動するかもしれませんが。

 症例報告を見る限り対症療法ではなかなか治まりにくく、私は、アビガンオルベスコを積極的に用いるべきだと思います。収束までの時間が長引けば、入院が滞り医療崩壊します。病期を短くするべきです。細菌性肺炎は抗生物質で軽快してもウイルスは残っているということがありえそうです。使用に対する障壁を減らすべきです。使わないリスクより、使うリスクの方がずっと小さいからです。研究し十分な症例を集め、厚労省が認可してからという官僚的な考えでは遅すぎます。

 ある地域でのコロナウイルスの蔓延を調べるのに、血液像を利用したらどうかと思うのです。検査会社の毎日の血液像検査のうち、リンパ球低下が何%になっているか毎日調べていくのです。そうすると、その地域のアクティブなコロナウイルスの蔓延の状況がわかるかもしれません。PCRは、労力も費用も大変でなかなかできませんし、今後出てくる抗体検査法では、どれだけ過去に蔓延したかはわかりますが、現在アクティブなのかはわかりません。また、いつになったらできるかわかりませんし、抗体がある人は上り(あがり)なので検査に殺到するでしょう。勝手な予想ですが、もうすでに、人口の2-3割くらいいるのじゃないでしょうか。

 実は、このウイルスは、思っているよりずっと感染力が強く、多くの人が気が付かないうちにすでに感染しているかもしれません。いろいろな国の感染防御がうまくいって、PCR陽性数が減っているのでなく、多くの人がすでに感染してしまって、もう感染する人がいないからなのではないでしょうか。自分たちの努力による成果だと思い込んでしまいますが、まったく違うのではないかとも予測してしまいます。ただの妄想的な考えですが、人間は、正しく物事を認知できにくいです。自分本位に捉えたり、願望の通りに事実を歪めて捉えようとします。欲望ということでしょうか。私自身もです。

 無症状で抗体を獲得できた人がもっともラッキーで、社会貢献のために豪遊してもらうしかありません。手洗いなど感染防御がきちっとしている人は、最後まで抗体を獲得できず、慎みのある閑居生活を強いられ続けるのです。不条理な病気です。

 血液像は 25点250円で、3割負担なら100円もかからないことになります。保険が通らなくても、検査会社に払う費用は150円程度でしょうか。確かにコロナだとは断定できませんが、おおまかにつかむのにはいいのではないでしょうか。蔓延の地域差もわかります。すでに出ているデータを用いるならただです。個人情報なしで、データだけいただけるならすぐにやりたいところです。検査会社の人や大学病院の検査室の方など、データにアクセスできる方は、だれか、やってみてください。

 大きな検査会社などでは、毎日たくさんの血液像検査の依頼があるでしょうから、毎日あるいは毎週、低リンパ球症が何%あるかをみていけばいいのです。今年の1月くらいから毎日のデータをみてみると、ひょっとすると面白いカーブが描かれるかもしれません。現在のコロナウイルスの蔓延の状況を安価に、ざっくりみることができるかもしれません。精神科医のただの思い付きなので、まったく的外れかもしれませんが、考えているだけで面白いので、これでいいです。

 さて、リンパ球の比率やリンパ球数は、他の血液のデータとどういう関係があるでしょうか。いや、本当はウイルス数とどんな関係があるかを知りたいのですが、それは無理なので。

 下の表をご覧ください。この31例のピアソンの相関係数です。*:p<0.05、**:p<0.01です。まず、左横のリンパ球比率の行を診てみましょう。CRPとは、十分な負の相関があります。つまり、リンパ球比率が低いとCRPは高くなる、つまり、重症になるという相関関係があります。その他は、お考え下さい。リンパ球数の行を見ると、血小板数と有意な相関があります。コロナでは、血小板が少なくなるということがすでに報告されています。

 次にCRPの行をみてみますと、アルブミンの少なさ、尿素窒素の多さ、LDHの多さと相関があります。尿素窒素は、脱水より異化の亢進でしょうか、LDHの高さもすでに言われています。アルブミンの低下と尿素窒素の上昇は、悪性症候群でもあり。つまり、サイトカインストームを示しているともいえるかもしれません。重篤な状態を示しているわけです。すでに、細菌性肺炎を合併しているかもしれません。

 

  リンパ球比率 リンパ球数 CRP WBC Pt Alb BUN LDH
リンパ球比率 1 0.764** -0.665** -0.560** 0.275 0.349 -0.407* -0.444
リンパ球数   1 -0.483** -0.039 0.555** 0.227 -0.182 -0.181
CRP     1 0.646** 0.012 -0.671** 0.516** 0.846**
WBC       1 0.355 -0.400 0.476* 0.678**
Pt         1 -0.416 0.262 0.531*
Alb           1 -0.596* -0.688**
BUN             1 0.735**
LDH               1

 

 精神科医のたわごととみていただき、内容の真偽に関しましては責任を持てません。臨床への応用は慎重になさってください。

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