精神科の専門外来 他の医療機関で出入り禁止になった方を診させていただく外来です

 飲食店やコンビニ、スーパーで、法に触れる行為、迷惑行為をすると、出入り禁止になります。精神科の場合、あるいは精神科だけでなく、他の科でも、何らかの理由で医療機関やスタッフ、他の患者さんに迷惑や負担をかけすぎてしまうと、「もう来ないでください」といわれてしまいます。「出入り禁止」または略して「出禁(できん)」などと言われます。確かにスタッフが長時間、繰り返し骨の折れる対応をしなければならないとしたら限界があるでしょう。ほかの病院に行ってくださいと言われてもしかたないことがあります。

そういう気持ちです

 しかし、患者さんの言動は、何らかの理由からきているのでしょうし、精神科的な病状による場合も多くあります。

 例えば、精神科の患者さんが他の診療科にかかった時、症状を気にしすぎて、不安になって何度も聞く、何度も行く、説明が入らない、きちんと指導が守れない、要求が多いなどのことは精神科的な病状から生じる場合があります。

 そのことが医療者側に十分理解されず、その結果、ルールを守らない患者に対して、かかわりを断るのは正当だと医療者側が思ってしまうと、それを感じて、「やはり受け入れてもらえない」と追いつめられ、絶望的になって問題行動を繰り返してしまうこともあります。精神科の患者さんのある部分の方は、世間から受け入れられない、疎外される、役に立たないということをたびたび思い知らされているからです。

今日、電話をかけてきた男性は、明らかに酩酊していて、○○病院の医者を殺しに行くといいます。刑務所から出てきたばかりの方で、足がむくんだため、総合病院に行ったのですが、そこでの対応が気に食わなかったのか、その医者を殺しに行くと呂律の回らない声で叫んでいました。誰からも相手にされないと感じてしまっています。今は酒に逃げていますが、また、犯罪を犯してしまうかもしれません。

 当院のような精神科病院は、もちろん、患者様を選ぶことなどできません。他の医療機関で遠慮された方もできれば受け入れたい、治療につなげたいと思っています。もちろん、実力不足や時間的制約などのため限界がありますが、せめて、気持ちだけでも持ち続けたいものです。

 精神科には、依存症外来、思春期外来、認知症外来などの専門外来がありますが、将来やりたいのは、上記のような外来、つまり、言葉にすれば「出入り禁止外来」です。しかし、すでに当院の献身的なスタッフは、もう限界まできていますので、これ以上押し付けるわけにもいかないでしょう。実際に標榜することはできませんが、スタッフに負担をかけすぎず、できる範囲で取り組んでいければと思います。

 また、今までブログで述べてきましたように、大切なことは常に逆説的に現れるように思います。仏教的に言えば、出入り禁止になるほど他者の分まで深い業を担った方は、もっとも貴重なことを教えてくれるに違いありません。ソクラテスもキリストもほとんどの人に敬遠されたのです。つまり、出入り禁止にされた人間だったのです。

 

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