コロナウイルスと精神科 その9 検査結果の矛盾 PCR 抗体検査

厚労省の抗体検査 6月

 厚生労働省は、新型コロナウイルスへの感染歴を調べる抗体検査について、陽性率が東京0.10%、大阪0.17%、宮城0.03%だったと発表しました。2つの機器で両者とも陽性の場合、陽性と判断したそうです。6月17日の朝日新聞朝刊に載っていました。無作為で7950人に検査をしたようです。ニューヨーク州で125%スペインで5%ですから、日本は感染の経験者がすごく少ないということになります。
 集団免疫ができるのには、人口の 6-7割が抗体を持たないとならないそうですから、東京では、約4か月で0.1%と考えると、1年で0.3%ですから、60÷0.3で、200年ほどかかることになります(簡易的な計算法)。つまり、ワクチンができない限り、永遠に感染対策を行い、死に際までウイルスとの戦いを継続しなければならないということになります。マスクにより、表情の半分の情報を失うということは、人間関係のありかたや文化にも影響を与えていくでしょう。

 しかし、本当でしょうか?

久住医師の抗体検査 4月

 前にも述べましたが、久住英二医師が、東京都内でホームページで希望者を募り、4月21日から28日に男123人、女79人のウイルス抗体検査をクラボウのキットで行いました。結果は、一般市民147人の 4.8%の7人が陽性、医療従事者55人のうち 9.1%、5人が陽性でした。202人の合計では、5.9%の12人(男女とも6人)が陽性となりました。(東京新聞4月30日)
 同じ抗体を検査しているのに、どうしてこんなに結果が違うのでしょう。久住は、簡易検査キットですが、それにしても、今回、厚労省で行った検査の50倍の陽性率ですので驚きです。しかも2か月ずれていることも考え合わせると100倍くらい違ってしまっているのです。前ホームページで募ったので、バイアスがかかった(無作為抽出でなく、感染した確率が高い集団を検査したことになった)ということは十分に考えられます。それでも違いが大きすぎると思います。
 さて、久住の結果では、5.9%ですから、825700人、都内で83万人が4月下旬に抗体ができていたということです。抗体はゆっくりできますので、実際は83万人より多いのではないでしょうか。

慶応病院のPCR検査 4月

 慶応病院の新型コロナウイルス感染症以外の治療目的で入院した入院患者67人に対する PCR検査では、4人(5.97%)が陽性でした。4月13日から4月19日間の調査です。これらの方は、コロナウイルス感染症の症状はありません。無症状感染者です。 4月中旬において、まず、慶応の結果から推定されるのは、東京都の人口1,390万人のうち、5.97%の約87万人が当時、コロナウイルスに感染していたということです。久住の結果と合わせれば、4月の半ばに、東京都の人口のうち、87万人が感染中であり、83万人は感染が終わって抗体を持っているということになります。計170万人、人口の 12%がコロナウイルスに現在り患しているか、過去に罹患済みかということです。久住と慶応の考えで行くと、6月現在には、20-30%の人はすでに感染済みということになりそうです。厚労省の結果と違いすぎます。検査の対象者の選択だけの問題でない気がします。

早期に感染しそうな人がなぜ今感染しているのか 6月

 ほかにも不思議なことがあります。6月の現在、感染者の多くが夜の仕事の方で、一つの店でかなり多くの人が感染していることが示されています。そこに問題があるというように思わせられています。しかし、彼らは人との接触の機会が多く、もっと早く(自粛前に)感染していてもおかしくない仕事です。夜の仕事の人の中で現在まん延していることをもっともらしく報道されていますが、何かスッキリしません。

PCRで陰性とされた人はどういう病気だというのだろうか 4月 5月

 東京都は、5月9日にようやく PCR検査の陽性率を開示しました。検査の陽性率ですが、4月11日、4月14日が最も高く31.6%です。5月8日は最も低く7.6%です。しかし、この陽性率は低すぎると思います。検査の対象者の最低基準が37.5度の発熱が4日以上などかなり絞られていました。だとすると、そういう症状があって、PCRが陰性の人はどういう病気だというのでしょうか?尿路感染だというのでしょうか?あるいは他のウイルス感染症だというのでしょうか。コロナのはやっているこの時期に、もっと流行っていた病気があるのでしょうか? 偽陰性が非常に多いという可能性はないのでしょうか。

検査結果の整合性のなさ

このように、不思議なところ、他の検査との整合性がとれないとこと、矛盾しているところが多すぎます。どこに真実があるのでしょう。

ファクターX

 京大iPS研究所の山中伸弥所長は、日本の新型コロナウイルス感染拡大が欧米に比べて緩やかな理由を「ファクターX」と呼んでいます。山中がその候補の1つとして、京都大学大学院の上久保靖彦特定教授らの研究成果を挙げています。何かヒントになるかもしれません。

上久保医師の考え方

 上久保医師の考えを以下に紹介します。2019年12月に武漢で発生した新型コロナウイルスには「S型」「K型」「G型」の3つの型があり、性質が異なり、どの型が流行したかによって、国ごとの感染率や重症度、死者数が異なる。
 最初に日本に到来したS型(Sakigake)は、症状が出にくい弱毒ウイルスです。インフルエンザに対する干渉を調べたところ、2019年12月23日の週にインフルエンザ流行曲線にわずかな偏向を残した。
 次に、S型から変異したK型(Kakeru)は、無症候性~軽症のウイルス。中国で蔓延し、日本ではインフルエンザ流行曲線が大きく欠ける結果を20年1月13日に起こした。
 続いて、武漢においてさらに変異して武漢G型(Global)となり、重度の肺炎を起こすため1月23日に武漢は閉鎖された。また、欧米G型(中国・上海で変異したG型)は、イタリア→欧州全体と米国で大流行した。一方、G型は日本にも到来したが、死亡者数が欧米諸国より2桁少ないレベルにとどまっている。

 閉鎖前、中国からのS型とK型の日本への流入・蔓延が続き、多くの日本人の間にS型・K型の集団免疫が成立した。具体的には、K型の侵入に対して、体内のTリンパ球が反応して獲得する「細胞性免疫」がG型への罹患を防ぐため、日本人の死亡者が少なくなったと上久保は主張した。
 一方、米国やイタリアなどは、早くから中国からの渡航を禁止したため、K型の流入は抑制された。2月1日以前にS型はすでに蔓延していたが、S型への抗体には「抗体依存性免疫増強(ADE)」効果があり、S型免疫が、次に感染したウイルスの重症化を引き起こしたため、死亡率を高めたといいます。

 K型への細胞性免疫が成立した場合、G型ウイルスの感染が予防されますが、現在は細胞性免疫獲得の検証がなされていないという。
 また、無症候性が高率である新型コロナウイルスにおいては、誰が感染しているのか、誰が感染していないのか分からない。明らかに感染している重症患者を想定して検査のカットオフ値(陽性と陰性の境となる値)が設定された抗体キットである場合、無症候性の患者の抗体値が重症例より比較的低いとすると、陰性に出てしまうことは想像に難くないという。
 要するに、検査は白黒はっきりつくものと考えがちだが、実はそうではないということで、抗体検査が陰性を示していても、免疫を獲得していないとはいえない可能性があるという。
 上久保氏らは、細胞性免疫は時間とともに減弱する可能性があり、それによって第二波の大きさが決まってくると指摘する。その免疫を維持するためには、適度にウイルスに曝露して免疫を維持するという「ブースター効果」が必要だという。

真実はどこに

 上久保説を援用すると、矛盾が少しほどけそうな気もしますが、いろいろな点で検査結果の矛盾が多く、専門家の意見も細かいところだといろいろで、この病気をうまく捉えられていません。真実はどこにあるのでしょう。2020年6月22日公開

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