コロナウイルスと精神科 その7 その実態は

新型コロナウイルスの実態がどうしてもつかみにくいです。そのために、どのような対策が正しいのかわかりにくくなっています。今まで、報告されているデータから検討してみましょう。

慶応病院のPCR検査 4月13日から4月19日

 慶応病院の新型コロナウイルス感染症以外の治療目的で入院した入院患者67人に対する PCR検査では、4人(5.97%)が陽性でした。4月13日から4月19日間の調査です。これらの方は、コロナウイルス感染症の症状はありません。無症状感染者です。

 4月中旬において、まず、慶応の結果から推定されるのは、東京都の人口1,390万人のうち、5.97%の約87万人が当時、コロナウイルスに感染していたということです。この数字がどれだけ正しいかを検証しなくてはいけません。この67人は何で入院したのでしょうか。ずっと前から予約で入院が決まっていたならばいいのですが、実はコロナウイルスに感染したために何らかの別の症状が出て入院したとしたら、実際はもっと少ない数になるでしょう。また、行った PCR検査に偽陰性が多いとしたら実際は87万人より多いということになります。ウイルスが体内にいる場合に、咽頭で必ずキャッチできるものなのでしょうか。咽頭には少なく、体内の他の場所にいる場合に偽陰性率は高くなってしまいます。上気道炎の症状もないのに、CTでは肺炎像があるという例も報告されています。

 しかし、この報告は専門家会議などでは、あまり取り上げられていないようです。都民だけで87万人も感染しているということになったら、収拾がつかなくなるし、毎日感染者が何人だと報告していることが、ほとんど意味のないことだということがばれてしまうからかもしれません。首相をはじめ政治家や専門家の方々のご苦労には敬服しますが、政治的意図のために、情報がゆがめられているのではないかと感じます。

久住医師の抗体検査 4月21日から4月28日

 久住英二医師が、東京都内でホームページで希望者を募り、4月21日から28日に男123人、女79人のウイルス抗体検査をクラボウのキットで行いました。このうち1か月以内に発熱のあった人は52人で同居者でコロナウイルス感染者がいる人は2人、PCR検査で検査を受けたことがある人は9人、うち1人が陽性だったということです。

 結果は、一般市民147人の 4.8%の7人が陽性、医療従事者55人のうち 9.1%、5人が陽性でした。202人の合計では、5.9%の12人(男女とも6人)が陽性となりました。以前のPCR検査で陰性だった人で陽性になった人がいたそうです。(東京新聞4月30日)

 さて次に、久住の結果では、5.9%ですから、825700人、83万人が4月下旬に抗体ができていたということです。抗体はゆっくりできますので、実際は83万人より多いのではないでしょうか。慶応の結果と合わせれば、4月の半ばに、東京都の人口のうち、87万人が感染中であり、83万人は感染が終わって抗体を持っているということになります。計170万人、人口の 12%がコロナウイルスに現在り患しているか、過去にり患済みかということです。しかも、これは最低値だと思います。医療従事者は約2倍抗体保有率がありますので大変なことです。病院では、職員の2割くらいは、4月中旬にウイルスに感染しているか、すでに治癒していて抗体を持っているかになるのではないかということが予測されます。症状の顕在化率が極めて低いからわかりにくいといえます。インフルエンザなら発熱で分かりやすいですが、コロナウイルスに感染しても発熱すらしない人が多いのではないでしょうか。

 どこで、院内感染が起きたという報告もばかばかしいのではないでしょうか。どこの病院でも医療従事者の2割くらいは、感染中か抗体ができているからです。「当院では院内感染を封じ込めることができた。それは徹底した感染防御対策のためだ」などというのもなにか実態と違うのではないかと感じます。職員全員にPCRと抗体検査をしてみれば本当のことがわかるでしょう。

東京都の統計 PCR陽性率など 5月8日まで

 東京都は、5月9日にようやく PCR検査の陽性率を開示しました。

 検査の陽性率ですが、4月11日、4月14日が最も高く31.6%です。5月8日は最も低く7.6%です。4月中旬の31.6%ですが、これは、東京都の人口のうち、毎日31.6%が新たに感染しているということではありません。そうではなくて、87万人の感染者のうち、200人(当時の1日の陽性者数)ずつ毎日カウントしていることに近いと思います。感染してない人がざっと1,100万人いたとして、その中から400人もってくる。つまり、非感染者400人と感染者200人にPCR検査して、約3分の1に陽性者が見られたという感じです。しかし、この陽性率は低すぎると思います。検査の最低基準が37.5度の発熱が4日以上だとすると、そういう症状のある2/3の人はどういう病気だというのでしょうか。尿路感染だというのでしょうか?あるいは他のウイルス感染症だというのでしょうか。偽陰性が非常に多いということ以外に説明がつくでしょうか。

 サンプルをランダムにとると陽性率6%ぐらいなのでしょうから、6%を30%に上げているのは、37.5度以上の発熱4日以上などの検査の要件があるからでしょう。つまり、設定された検査の要件は、4月中旬時点では、検査の陽性率を6%から30%に上げるのに貢献しているとはいえます。陽性になれば治療につながりますが、それは毎日200人程度です。87万人の感染者の多くは無症状か軽症なのですが、その中には急に悪化したりいつまでたっても症状が持続する人もいます。もし、PCRを2倍にすると、新たに200人(ほとんど同じ)がPCR陽性になり、治療が受けられます。これらの人は十分な症状のある方たちですので、PCR検査数が少ないことによって、治療を受けるべき人が受けられていないといえます。

 5月8日に 7.6%に下がっていますが、もし、選択基準が変わっていないのなら、7.6%に下がったのは、感染者が外出規制効果で新たには増えず、87万人の感染者の多くが自然治癒するなどで 4分の1くらいになっている可能性があります。この中にはコロナじゃない、ただの風邪だとか、細菌性の肺炎だとか、尿路感染かもしれないといわれて不適切な治療をされたが時の経過で軽快した人も多くいるように思います。慶応でやったランダムなPCR検査をしてみると、4分の1になっているのでしょうか。6%だった陽性率が1-2%になっている可能性があります。

 しかし、本当でしょうか。数週間で、感染している人がそんなに減るのでしょうか。もし、自然治癒などしているとすれば、抗体を持つ人の率がそれを裏付けるだけ上昇しているでしょうか。確認したいところです。まだ、体内にウイルスが残っているが検知できていない可能性もあります。検査しているのはPCRの場合、局所のウイルスなのですから。また、一旦陰性になった人がまた陽性になったりなどは、体内にウイルスが残って、活動を弱めたり、また、増殖したりを繰り返す人がいるのではないでしょうか。ウイルスが消えたというのではなく、咽頭でウイルスが検出されなかったということではないのでしょうか。

 規制を緩めるとどうなるかですが、抗体保有率に依存すると考えられます。抗体保有率は高まるにつれ、行動を自由にしても新たな感染は増えにくくなります。ですから、都民から無作為に抽出して、定期的に PCR検査を定期的に集団で行うこと、同様に抗体検査も定期的に行うことが重要なのではないでしょうか。サンプル数は今までどおり200人くらいでいいのではないでしょうか。そうすれば、まん延の状態がはっきりします。

 また、抗体を保有すれば上がりかというとそうではなく、抗体を保有していても体や服の表面にウイルスをつけて運ぶ可能性はありますので、完全に自由になったとはいえないでしょう。

 このような経時的な調査によって、合理的な規制解除の判断のための資料にできるのではないでしょうか。

 もちろん、専門家の皆様は、こんなこと当たり前のことだと思いますが、自分でも整理してみたと思い試みました。(2020年5月12日)

PCR検査の施行の実態

 医者の求めに応じてPCR検査をするという政府の方針のようですが実態はどうでしょうか。5月11日、それまで6日間連続で38度以上の高熱がでている方がいましたので、何とかしないといけないと思い、精神科も対応可能な公的病院に依頼しましたが、「熱があるなら保健所に連絡してPCR検査をしてからじゃないと受け入れできない」と内科医からいわれました。もう一つの公的な大きな救急病院に電話してみました。ケースワーカーが説明し、やっと呼吸器の医師に電話がつながったら、「今うちは、かかりつけの患者しか受け入れていません」といわれました。

 それで保健所に電話することにしました。ですがなかなか電話がつながりません。11時過ぎから電話し始めて、10分おきに電話しましたが通じたのは2時間後です。熱が続いていることを説明したのですが、隔離できていること、新しい抗生剤を使い始めてまだ3日であること、以前に細菌性肺炎といわれたことなどを理由に PCR検査を断られました。医者が医学的検査が必要と言っているのに、医者じゃない人に検査が不要といわれるのは私でなくても腑に落ちないでしょう。制度は間違っていないでしょうか。

 なぜ断られたのかがわからなかったのですが、もし、PCRが陽性だった場合、保健所は病院を探さなくてはならないということになりますが、精神病の患者だし、受け入れ先がないことは十分考えられます。神奈川県の相州病院では、やはり保健所は探せず、精神科病院内でみてくれといわれた結果、職員への院内感染に至ったと院長は説明していました。そうした場合、保健所は間にはさまれてどうにもならなくなる可能性があります。それを避けるために、PCRをしないのではないかと勘繰ってしまいます。

 入院中の精神科患者がり患した疑いのある場合、検査場までどうやって連れていくのでしょうか? PCRをすすめた内科の先生に連れて行くのも難しいのですがといったら、「おたくで取ってもっていけばいい」と簡単にいわれましたが聞いたことはありませんし、あんな防具服を着て検査しているものを精神科病院でできるはずもありません。

 このような状況ですので、5月11日に埼玉県の新規感染者が2人だといわれても、まったく信じられないという感想です。

 おそらく、コロナウイルス感染症患者が発生した場合、精神病の患者さんはどこでも取ってくれないということは十分ありうると思い、研究用のアビガンはすでに保持しています。しかし、PCRが陽性でないと使いえないことになっていますので使う機会はないと思いますが。

 しかし、抗生物質にもスッキリ反応しない、転院を断られる、PCRが受けられない、生命が危険だとなった場合には、誰に反対されても法?を犯して、アビガンを使おうと思います。

 精神科病院は、精神病患者さんたちをコロナウイルスから守るために、もっと連携し主張していかないといけないと思います。また、公的機関も手が回らないのはわかりますが、精神科入院患者や知的障碍者施設入所者のコロナ対策に手を差し伸べる必要があります。

 やはり精神科の患者は、死んでもしかたがないと思っていると思われてもしかたないですね。国や都が毎日報告していることは信じられませんね。国がうまく対策を行っているということをアピールするだけのように思います。(5月12日追加)

 

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