コロナワクチン顛末記 精神科病院の場合

 昨夜、2021年2月12日(金)浦和医師会の説明会3回目がありました。夜の7時半から9時まで。みんな大変です。私は自宅でズームで参加しましたが、会場も合わせると参加者は200人超ということでした。医師会の会長、説明してくださった理事の先生、さいたま市の方、みなさんよく勉強され、的確に説明してくださいました。頭が下がります。

 うちの病院は、ともかく早く職員や患者さんが打てるようにと、B病院になりたいと手を挙げました。はじめは精神病院協会の方でそのあたりの説明がありました。埼玉県内でだいたい20位の精神科病院がB病院になったと思います。しかし、その後、流れが変わって、B病院にならなくても連携型という病院になると自院の職員には自院で打てるというようになりました。私の認識ですと、B病院の中に連携施設があるというように解釈していました。

 その結果、自院の医療従事者に打つだけでなく、一般住民にワクチンを打つことになってしまいました。精神科病院は、昔から、地域に開かれた病院が良い病院だなどというフレーズがありました。でも、地域に開かれた精神科病院とは何かわかりませんでした。しかし、今回、B型になった精神科病院は完全に地域に開かれた病院ということになりましょう。精神疾患の患者さん以外の近所の人がワクチンを打ちにいらっしゃるわけですから。

 しかし、今までは当院はインフルエンザのワクチンも入院患者さんだけで、外部の方にはしていませんでした。自閉的な精神科病院です。それが、ちょっとした判断ミス?から、皮肉にも開かれた病院になりそうです。精神科病院を身近に感じていただくのはありがたいチャンスです。そう考えることにしました。

 浦和医師会には、5つのA病院があります。さいたま市立病院、Jchoメディカルセンター、三愛病院、西部病院、共済病院です。これらの病院はコロナの患者さんを治療しており、まず、最初にディープフリーザーがきます。

 B病院は8病院で、精神科病院は当院だけです。認知症でコロナの人を引き受けてくれませんかという依頼がありましたが、当院は、コロナ感染症をみられる医療機器、検査機器がまったくないので、お断りすることになりました。そのかわり、せめて、ワクチンで貢献したいと思います。

 しかし、病院の職員はどうなることか不安になっています。そりゃそうです。普段の診療だけですら余裕はなく、私もつねにハーハー言いながら、仕事をこなしている状態です。他の職員も同様でこれ以上仕事が増えて大丈夫なのかということです。それに問い合わせの電話がたくさんくるのではないかなどの心配もあります。

 しかし、住民接種については、さいたま市のシステムで申し込むそうですし、そちらでは電話でも対応できるようにして、医療機関側に問い合わせが殺到しないようにしてくれるようです。

 あとは、病院内の接種場所ですが、密になってもいけませんし、順路、場所を考えているところです。精神科病院は、こういうことには対応していない設計ですから十分な形がとれるとは思っていません。可能な限りの方法で行うということでしかたないと思います。また、決して、精神科の機能を落としてまで、することであってはいけないと思います。精神科の方は通常どおり維持するのは当然です。

 精神科病院でもコロナのために、昨年から、作業療法の中断や人数制限、デイケア、訪問看護、外来でも、患者が減少し、薬を送るとか、長期処方にするなどで収入は減っています。収入を維持し、雇用を維持するためにも、良いことなのかもしれません。

 さて、このところ、ファイザーの1本のバイアルから、何回分の注射ができるのかですが、それが、6回から5回に減りました。昨日の説明会ではっきりと言われました。0.3mlの量を筋肉注射するのですが、実際に打つ時どうなっているかですが、実は、0.4mlを注射器に取り入れます。このとき、目盛りは、0.3mlを指します。これを押し出したときに、注射器と注射針の間の空間に0.1ml残るのです。つまり、0.4ml吸って、使えるのは0.3mlなのです。これが、ほとんど無駄のない注射器ですと、0.33とって0.3ml打てるとか、そうなるのだと思います。この0.1mlというのは分かりやすく示した数字です。

注射器 インクを吸って、ピストンを押し出した

 まあ、そんなことが今わかるのですから、相当に混乱はしています。実際にやってみなければわからない、という点もあると思います。もちろんできる限りきちんとした準備をするのは当然ですが、実際の過程で工夫して修正していくということになるのではないかと思います。(2021年2月13日)

拡大したもの インクが残っている

 上の注射器を見てください。わかりやすいようにインクを吸ってみました。ピストンを押し出しましたが、針とピストンの間にインクが溜まっているのがわかりますね。これが無駄になってしまうわけです。

2月15日(月)病院に、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(初版)が来ました。しかし、40ページもあります。これを読み込まなくてはいけない。また、これを何人分コピーして読んでもらえばいいのか。コピーにも時間がかかるし、17時以降でないとコピーできないでしょう。今週は月曜日に行動制限委員会、火曜日は特別支援学校に行って相談会、水曜日は病棟連絡会で夜は精神医療審査会、それとワクチンのV-sysへの登録、木曜日は設計会議、金曜日は午前に地鎮祭と夜は講演会座長、今週はたいへんです。

 ネット上のシステムが本日できたので(本日の朝にはまだできていなかった)、昼にワクチンの「委任状」を作成。浦和医師会の午後便で提出することとしました。この委任状の説明だけで書類が相当あった。読み込むのに苦労する。作る方は何倍もたいへんだ。これで、V-sysのお知らせが来るはず。いつ来るのでしょうか。夕方、看護部長らと話し合って、ワクチンを取りに行く人2人を決め、ワクチンのシリンジへの取り込み、注射の要員として、看護師を各病棟から2人ずつ選んでほしいと伝えました。あとは、簡単な説明文書の用意をしなければなりません。

 夜は、病院の外来でどのように並んでもらい、どこで問診し、どの部屋で打つのかを図にしてみました。いくつかのパターンを今まで考えていたのですが、精神科の患者さんとワクチンの患者さんを分けるということを重視しました。しかし、完全にはできません。だから、互いに知り合ってもらうのもいいのではないかという気もしてきました。開かれた病院ということになるとそうなるのかもしれません。しかし、警察官と来院し手錠を掛けられているかたもいますし、大声を出す人、独り言を言っている人などいろいろな方がいらっしゃいます。精神科病院には打ちに誰も来ないのではないかという気もしてきました。どのような発見があるか楽しみでもあります。(2月15日)

 来週の金曜日2月26日に、接種にかかわる職員、看護師20人、薬剤師3人、事務員2人に説明することとしました。まずは、職員への接種をうまくやってみなければなりません。そこで、問題点を探って、本番に備えるということにしたいと思います。

県予約サイトのお知らせのメールが、県のワクチンチームから来た。県からということは、医療従事者の方の情報です。住民接種の方は、さいたま市なので別です。この辺の所がわかりにくいですし、システムも違うので混乱してしまいますが何とか。(2月16日)

 本日17日から、医療従事者のうち、一部の方たちに接種が始まります。

今日の17時過ぎに、看護部長とリワーク主任に手伝ってもらって、ワクチン注射の接種場を考えました。やはり、入院患者との接点があると感染の危険もあるので、新館食堂をパーティションで区切って、予診、接種、観察をするのが良いかなと考えました。あす。パーティションを注文しないと。連絡会議で、ワクチン接種のことを管理職に説明しました。

 しかし、今日は、V-sysの通知が来ると思ったのに、まだ来ない。早く来てください。名簿はできています。

 夜、9時までこころの健康センターで精神医療審査会。センターの職員の方々も遅くまでたいへんです。しかし、日中に集まれるわけもなく、夜になります。80件以上の審査。退院請求も多い。来週は、リモートで全国精神医療審査会長会議。リモートだけれども、こころの健康センターにいかなくてはなりません。家→車→病院→車→こころのセンター→家(2月17日)

昨日の夜18日(木)埼玉県のワクチン医療従事者向け予約システムのお知らせが来た。港区芝公園にあるエンパワーヘルスケアというところから。県が民間委託しているらしいです。EPARKというソフトを使うということらしいです。あらためて、県から予約システム設定に関するお知らせが通知されるとのことです。マニュアル(18ページ)を印刷して読んでみましたが、何か自分がやろうとしてきたこととそぐわない気がします。私は、当院の職員200ほどと外部の医療従事者12人が受けられるようにすればいいのですが、かみあうのでしょうか?EPARKとは、芝公園(東京タワーの下にある公園)から名前をとっているのですね。会社がここにあるので。

 なお、浦和医師会からの「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き2月12日版」は、56ページ

 「ファイザー新型コロナワクチンに係る説明資料」は、38ページ、そのほかに、

ワクチン「コミナティ筋注」の効能書き3ページ、「コミナティ適正使用ガイド」22ページ、「コミナティ筋注に係る医薬品リスク管理計画書」17ページ、「新型コロナワクチン コミナティを摂取される方とそのご家族へ」8ページ、これだけで、144ページ。ほかにも、輸送の方法とか委任状の作り方とかのマニュアルが各方面からやってくる。さらに、厚労省の「新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について 自治体説明会①令和2年12月18日厚生労働省 健康局 健康課 予防接種室」は、カラースライド何と87ページ。

 なお、コミナティ(COMIRNATY)という名前の由来ですが、コロナのCO、修飾のmodificationのM、RNAワクチンのRNAなどを組み合わせたものでしょう。

 また、一昨日には、埼玉県精神科病院協会から、2月26日にオンラインで県の感染症対策課と医療整備課の担当者の説明会があるとのことです。そこには、「今後、会員病院の職員の皆様や患者の方々への接種が順次開始され、さらには一般の方々へと進む予定です」と書いてあります。(2月19日)

注射器の中に薬液が残ってしまうという事実は、たいへんな問題を引き起こします。まず、1つのバイアルで6人できるはずのものが5回になるということになるのです。1つのバイアルを国はファイザーからいったいいくらで買っているのでしょうか?どこにも書いてないようですし、国によって価格の違いがあったらたいへんですし、どうなっているのでしょう。仮に1回接種で1、000円で買っているとしましょう。ファイザーだけではないのですが、仮にファイザーのみ、16歳以上の国民が2回受けたとして約2億回。1,000円×2億回で、2、000億円。ところが、これが割り増しくらいになるので、2,400億円。つまり、400億円くらい余計にかかることになる。2000円で買っているとしたら、800億円です。当然、税金が投与されます。注射器を作るメーカーにはたいへんな仕事が舞い込むことになります。しかし、国の偉い方たちやファイザーの方々は、注射器のことをどう思ってたんでしょうか?日本には当然あると思っていたのでしょうか?日本に注射器がないために、ファイザーは結果的に400億円増収になってしまいます。専門家の方たちも余り気にしなかったのでしょうか? 真相はどこになるのか?生理食塩水で少し薄めて、一人当たり0.5ml打つことにしたらどうか?

 極端なことを申し上げましょう。400億円を無駄にしないとしたら、昔覚せい剤でやっていたように回し打ちをする。大きな注射器に何人分も吸って一人ずつ打つ。もちろん、感染の危険がありますのでできません。次の方法。0.3ml打つために、実際は0.4mlくらい吸っているわけですが、0.3mlしか吸わないことにする。そして、あと0.1ml以上の空気を吸います。そして、注射器の針を下にして、注射器をコツコツと叩き、エアをシリンジの上部にためます。被注射者には、腕を水平にしてもらい、上から上腕三頭筋に注射します。もし、正確に0.1mlのエアなら、最後までピストンを押し込めばちょうど良い量が入ります。多少エアが筋肉内に入っても問題ないでしょう。

 これらの方法の中で、もっとも現実性が高いのは、生理食塩水で薄めたものを注射することでしょう。もともと、1.8mlの生食で薄めるので、バイアルの中に入るかどうかはわかりませんが、計算の上、もっと多めの量を入れて多めに注射することで6人に打てるようになるのではないでしょうか。

 これらのことを考えるのは冗談ではありません。国の予算だからと、少し鷹揚すぎるのではないでしょうか。その付けは必ず弱者にやってくることになるのではないでしょうか。もっと、深刻に考える必要があると思います。

 この注射器の薬液の無駄は、コロナワクチンにとどまりません。
 精神科で使われるゼプリオンTRI 525mgですが、1本 2.625ml で 135,000円くらいします。統合失調症の治療薬としては再燃防止の観点からもっとも望ましい薬剤の一つです。注射針は、一般のものを用いますので、やはり注射液が針の付け根の部分に余ってしまいます。0.1mlだとすると 5,143円、0.2mlだとすると 10,286円になります。さあ、これらの金額はだれが負担することになるのでしょうか。ゼプリオンTRIは約12週間効果が持続しますが、1日当たり、50円から100円程度が無駄になっている可能性があります。発展途上国だと命をつなげる金額になるかもしれません。

しかし、無駄というのを最大限に減らそうと取り組むことにエネルギーと金銭を注ぎすぎては意味がなくなってしまいます。バランスの問題となります。3か月に0.1ml無駄になるのは、悪い事ではないかもしれません。

普通の針をつける

高価な注射薬であるオブジーボ20mgは、2mlに含まれており、価格は3.5万円ほどですが、注意書きには、使用時に無駄になってしまうので、2.2mlにしてあると添付文書に書かれています。10%増しなのです。つまり、3,500円分毎回捨てているわけです。オブジーボの場合は、ゼプリオンに比較して、使用料も多いですし、年間3、500万円になることもあるようです。最大、この1割が無駄になってしているとすると350万円です。これは、ちょっと辛いところです。(2021年2月21日)

中身は2.2mlです

 1月20日付けで、日本精神科病院協会の山崎學会長が、田村厚生労働大臣あてに、「新型コロナウイルスワクチン接種の接種順位に関する要望」を提出したそうです。それによると、1月19日現在、107の精神科病院協会会員病院でコロナ患者が発生。クラスター発生病院は30以上だそうです。このような事情から、優先接種対象である「基礎疾患を有する者」から除外しないように要望したものです。

 基礎疾患の内容については、BMI30以上の肥満、慢性の呼吸器疾患、心疾患、糖尿病などになるのでしょうが、自己申告制にするらしいです。いったい、どのくらいの数になるのでしょうか。一方、第2便で送られてきたワクチンは、第1便と合わせてまだ、45万人分です。注射針の件を含めて、日本の対策は、決してうまくはいっていないと思います。みんな一生懸命してくださってはいますが、いろいろな種類の災害に対するリスクマネイジメントがうまくはいっていませんね。

 国としては、一刻も早く、多くの国民にワクチンを打ちたいところですが、製薬会社は、普通に考えれば、生産ラインを長期に稼働させたいところでしょう。何か目標が微妙にずれてしまうようなきがします。

 また、薬液が無駄にならない注射器、注射針は、今後、高価な薬剤の注射には大いに使えるようにしてほしいです。どの立場の人にもいいように思います。しかし、上述しましたように、それに時間とエネルギーと金がかかりすぎない方法でできるのならです。(2021年2月22日)

 話はもとにもどりますが、ファイザーのワクチンは、1バイアル当たりいったいいくらで日本は購入しているのでしょうか?国によって値段が違うのでしょうか?金を多く払えば、早く獲得できるのでしょうか。この値段についてどなたも発言してないのが不思議です。河野大臣に「1本いくらで買っているのですか?」と誰も聞いていません。タブーなのでしょうか。

 それから、昨年の年間死亡者が138万人で11年ぶりに、死者が減ったとのことです。しかも1万人ほどもです。コロナ対策の副次的な効果として減ったのでしょうけれど、これをどう考えればいいのでしょう。もっとも単純に事実を表現するなら、「2020年は新型コロナウイルスがまん延した。その結果、日本の死者数は減少した」。(2021年2月24日)

バルナケア社の注射器 ピストンの先が出っ張っている

 本日の情報ですが、イギリスの医療機器会社バルナケアは、コロナワクチンを1バイアルから6回の注射液を取れる注射器を日本にも提供できるとのこと。たいへんありがたいことですが、いったい日本のメーカーはどうなってしまったのか。国や専門家は、注射器、注射針の問題に気が付かなかったことばかりでなく、メーカーがリカバリーもできないということはどういうことでしょうか。死ぬ気でがんばって作ってやるというメーカーもないのでしょうか。実際にないから、テレビのドラマでもてはやされるのか? 日本は想定力、工業力、対応力、スピードでも劣化してしまったのでしょうか?

 コロナというのは、不思議です。この敵に対してどう戦うことができるかということに、その国の今のさまざまな力が表現されてしまいます。交渉力では、イスラエルの勝ち。ワクチンの製造という点では、アメリカそして、巨大製薬会社。恩着せ力では、中国。明確な政策という点では、台湾。隠ぺい力で北朝鮮。コロナウイルスに強いという点で東洋人。戦争をする時のデータになりそうなくらいです。いや、アメリカや中国は各国の対応力のデータをとっているのかな。

 中国が生物兵器を作成したとする。それに対抗して、大砲を作ろうとするが、研究費は米国や中国の1/10しかないし、給料も安いので人材は流出して、作れない。同盟国のアメリカから、大砲を購入しようとするが、順番だから少し待ってくれといわれて、当てが外れる。ようやく少し手に入ったが、日本のタマが大砲に合わずうまく使えない。日本のタマ製造会社は、新しいタマを作るのに半年かかりますという。困っていたら、イギリスが日本の分まで、いいタマを生産できますというので、値段は張るが分けてもらう。そんなかんじでしょうか。何とかいいところも見たいものです。

 ワクチン接種がうまく進むかの現在のポイントは、ワクチンを順調に入手できるか、獲得できるかということが一番のように思います。他国より大金を取られて、なかなかワクチンが来ないということにならないといいのですが。7万円で何を食ったかなんてどうでもいいのではないか? 忙しい加藤厚生労働大臣に、「和牛ステーキ、海鮮と聞いております」なんて言わせなくてもいいのではないでしょうか。(2021年2月24日)

接種会場の準備をしました。長年使わないものが置いてあったので、数人で少しずつ整理。使わないものは処分しました。「問診」、「待機場所」などの表示も作りました。待機時間中にみる映像も準備。13時から、リモートで埼玉精神病院協会、県の方の説明会あり。少し、わかってきたが、ワクチンの供給量が少ない、遅いことが問題です。16時からは、15分だけ、看護師20人ほど、薬剤師、事務、社会復帰課の方々にワクチンの説明をしました。ワクチンのおかげで、物の整理や処分ができ、一つのことに向かっていく連帯感も得られたのは良いことかもしれません。(2021年2月26日)

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